維摩経

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維摩経』 (ゆいまぎょう、ヴィマラキールティ・ニルデーシャ・スートラ、vimalakiirti-nirdeza-suutra、は、大乗仏教経典の一つ。
別名『不可思議解脱経』(ふかしぎげだつきょう)。
 紀元後1〜2世紀ころに成立したと思われる。

版本にはサンスクリット原典と、チベット語訳と3種の漢訳(支謙訳・鳩摩羅什訳・玄奘訳)が現存するが、漢訳はもともと7本あったといわれる。
漢訳は、一般に原文を簡略化し、あるいは修飾補筆することなどが多い。
それに対して、チベット訳は、一言一句直訳的であって、もっとも原文の体裁を保存するものと考えられている。
一般に用いられるのは鳩摩羅什訳『維摩詰所説経』(ゆいまきつしょせつきょう)である。
中国・日本でも、仏教伝来間もない頃から広く親しまれ、聖徳太子の三経義疏の一つ『維摩経義疏』を始め、注釈書も多く出された。

内容は中インド・バイシャーリーの長者ヴィマラキールティ(維摩詰、維摩、浄名)にまつわる物語である。 維摩が病気になったので、釈迦が舎利弗・目連・迦葉などの弟子達や、弥勒菩薩などの菩薩にも見舞いを命じた。しかし、みな以前に維摩にやりこめられているため、誰も理由を述べて行こうとしない。そこで、文殊菩薩が見舞いに行き、維摩と対等に問答を行い、最後に維摩は究極の境地を沈黙によって示した。

維摩経は明らかに般若経典群の流れを引いているが、大きく違う点もある。

維摩経は全編戯曲的な構成の中に旧来の仏教の固定性を批判し、在家者の立場から大乗仏教の空の思想を高揚した初期大乗仏典の傑作である。

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  ★文献
 紀野一義 『維摩経』(大蔵出版〈佛典講座〉 新装版2004年)
 石田瑞麿 『維摩経 不思議のさとり』(平凡社東洋文庫)、重版多数 
 長尾雅人 『維摩経、首楞厳三昧経』(大乗仏典7:中央公論社、新版中公文庫、2002年)、
           チベット語訳に基づく、後者は丹治昭義訳。
 高橋尚夫・西野翠 『梵文和訳 維摩経』(春秋社、2011年)−訳者は大正大学関係者。
 植木雅俊 『維摩経 梵漢和対照・現代語訳』 (岩波書店、2011年)







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