たぐいまれな霊視能力と哲学的・論理的弁証によって、これまで象徴的・断片的に示されてきた神霊界の世界と人間との関係、死後の世界、輪廻、そこから導き出される人生の生き方を冷徹に知性に提示している。
非常に難解であるが、逆に感性面に提示しているシルバーバーチの霊訓を合わせ読むことによって、シュタイナーの語る世界をつかむことが、より容易になると思う。
シュタイナーは20代でゲーテ研究者として世間の注目を浴びた。1900年代からは神秘的な結社「神智学協会」に所属し、ドイツ支部を任され、一転して物質世界を超えた“超感覚的”(霊的)世界に関する深遠な事柄を語るようになった。
「神智学協会」幹部との方向性の違いにより1912年に同会を脱退し、自ら「アントロポゾフィー協会」(「人智学協会」)を設立した。「アントロポゾフィー」(人智学)という独自の世界観に基づいてヨーロッパ各地で行った講義は生涯6千回にも及び、多くの人々に影響を与えた。
また教育、芸術、医学、農業、建築など、多方面に渡って語った内容は、弟子や賛同者たちにより様々に展開され、実践された。中でも教育の分野において、ヴァルドルフ教育学およびヴァルドルフ学校(シュタイナー学校)が特に世界で展開され、日本でも、世界のヴァルドルフ学校の教員養成で学んだ者を中心にして、彼の教育思想を広める活動を行っている。