奈良・京都の主な寺院を宗派別にまとめてみた。その宗派の数の多いのに呆れる。これでもかなり基本的な派で分けたもので、たとえば真言宗についても真言宗何々派となれば約50派ほどになる。
なぜこれほど多くの宗派が存在するのか?
これらすべては古い宗派と対立して発生したものだ。自分の所属していた宗派を批判し、見切りをつけて自分で新しい宗派を作り出している。よく僧の数だけ宗派がある、と言われる所以だ。
もともと仏教とは、インドでゴータマ・シッタルダという人が始めた宗教で、その基本的な思想は、人生は苦である、という前提から、では苦とは何か、なぜ苦が存在するのか、という分析を進め、その苦を越えるにはどうすればいいか、という方法論として八正道という生き方を説いたもの。その仏教が日本には中国から経典でもって伝わったため、日本の仏教は中国の思想の影響を受けたもので、その経典(漢文)を学ぶところから始まる。その経典自体にいろんな種類があるため、どの経典が本来の仏教の思想を伝えているのか、つまりどの経典が一番優れているのか、また、その経典の内容をどう解釈するか、というところでいろんな僧たちのいろんな考え方がこれほどの宗派を生み出してきたわけである。
功徳を積んだ選ばれた者しか救われないとする奈良仏教に対して、全ての人を救ってこそ仏法の道と説く最澄は天台宗を開く。法華経を最高の教えとする最澄に対し、密教こそが全てであると説く空海は真言宗を開く。天台宗からも、難解な教義を学ぶより一般の人々を救うにはもっと分かり易い教えが必要と、念仏を唱えれば救われるという思想
--
念仏宗・浄土宗・日蓮宗などが発生する。 すべての苦は心の問題であるとして、その心自体を見つめよ、と、禅宗が生まれる。
宗派別寺院