2月1日

前の日記で、霊的なことには関心が薄れた、と書いたが、今、霊的なことを考えると、たぶん否定的な見方が多くなるだろう。
それは、今まで言ってきた霊的なことを否定するのではない。

霊的な迷信、思い込み、意味もわからず闇雲に信じ込まれていることを検証し、
ウソ、デタラメさを暴くことにエネルギーが行く、という意味だ。
つまり、いわゆるサニワとしての見方がより強くなる、ということ。

ただ、これをすると、それを信じ込んでいる人の夢や希望を壊すことになる。
それはその人の世界なのだから、おせっかいになる。
だから、なるべく気にしないようにはしているのだが・・・






 
2月4日 

約20年近く前に、最初の和尚の翻訳をした。
「秘教の心理学」という本で、この時は訳文が下手だったので、他の人にやり直されて出版されたが、
この「秘教の心理学」で、和尚は、人間の神秘的な面、霊、死後の世界などについて深く語っている。

そして、今回翻訳した「知恵の書」では、そういう霊的なことを全て馬鹿げたものだ、として否定している。
そして、次に翻訳する予定の「トランスミッション・オブ・ザ・ランプ」では、また霊体や輪廻について語っている。

「知恵の書」だけを読む人は、和尚は霊的なことを否定する人、と思うだろう。
上の三冊全てを知る人は、和尚は矛盾している、と思うだろう。
私も、最初に「秘教の心理学」を翻訳して、次に「知恵の書」を翻訳したので、初めのうちは和尚の言っていることが信じられなかった。
ただ、なぜ和尚は矛盾したことを言うか、その理由も「知恵の書」の中で言っている。

ようするに、自分は霊的なことを知っている、と思うことにより生まれるエゴ、
自分は普通ではない、特別な人間だ、という尊大なプライド、それを和尚は壊そうとしているのだ。
エゴ、プライド、自分は特別だと思う意識、これらがスピリチュアルでは最も危険なものだ。

そして、和尚に関連する雑誌の中で、上の三冊の本が、霊的なこと、反-霊的なこと、その両極端を語っている、
そういう意味で最も象徴的な本だ、と取り上げられていた。

その三冊の本全てに、私がかかわっていたことが、何か不思議さというか、おもしろさを感じて、大笑いをしてしまった。
別にそのことで、自分が特別だとは思わないが、そこにも何か、不思議な導きを感じてしまった。






 
2月7日

以前、別の翻訳者が言っていた・・・「和尚の使う言葉は単純だが簡単ではない。」
それを私も今、非常に感じている。

普通、翻訳の過程とは、英語から日本語に訳す、英文和訳から始まり、それを日本語として読みやすいように文章を変えていく。
これが和訳と翻訳との違いになる。
一般的な文章では、意味が伝わればいいだろうが、精神世界、特に和尚の世界ではそうはいかない。

そもそも和尚は、真理は言葉では伝えられない、と言っているし、
もともと和尚はインド人で、母国語はヒンディー語だから、英語のボキャブラリーはあまり多くない。
だから、使われている単語は少ないのだが、そこに深い意味を含ませている。

それを読み取らなければならない。
そしてそれを、読み手が理解できるように、ニュアンスが伝わるように適当な言葉を探さなければならない。

問題は、その適当な言葉がなかなかないことである。そして言葉から受けるイメージで誤解される恐れが大きい。
例えば、スピリチュアル、という言葉は、普通、精神世界、霊的、神霊的、心霊的などに訳される。
だが、人によっては、精神と霊とは違う、と言う人もいるだろう。
神と霊とは違う、と言う人もいるだろう。その人の解釈によって、いろいろな意味に取られる。

だから、ある程度の誤解は覚悟の上で、やってゆくしかない。そして自分の理解力の限界もある。
それは常にジレンマとの戦いになる。正解はない。

そして和尚の本は、読むたびに新たな発見がある。そこで、最初の翻訳が適当でなかったことがわかる。
読むたびに、やり直しをしてしまう。
どこかで妥協しなければならない。

そして、瞑想とは、見ること、気づくこと、自分を客観視することであるから、和尚の本の翻訳は、まさに瞑想となっている。






 2月28日

和尚の翻訳「知恵の書」の最終校正済みの原稿が届く。
それでも少し、訂正の必要な箇所があり、それを訂正して、出版社に送り返して、3月6日に入稿予定とか・・・

最初の予定より、一週間遅れている。やや、急かされているけれど、なんとか3月半ばの出版には間に合いそう・・・?

3月に東京でブックフェアが予定されていて、それに間に合わせたいらしい。
3月21日が、和尚が悟りを得た日だから、その日に合わせるのかも・・・

ページ数にして約600ページ。我ながら、よくやったな・・・これで上巻だから。
下巻は来年出版の予定で、ページ数はたぶん400ページくらいかも・・・

初版は3000部。他の和尚の本も、だいたい確実に売れているらしい。絶版本も多いけれど・・・・

上巻16章の、各章の扉に写真が掲載され、そのうちの三枚を、私の写真を使ってもらえることになった。
滝の写真が二枚と、睡蓮の写真が一枚。でも、中扉だから、白黒になるけれど・・・
自分が何かの役に立っている、と思えることがいい。

  










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